ピロリ菌について
・ピロリ菌とは
ピロリ菌とは胃が住みやすくて、そこに居ついてしまう細菌なのですが、これがいると胃に炎症を起こして、胃がんや胃・十二指腸潰瘍のリスクになることが問題とされています。
ピロリ菌を発見したバリー・マーシャル教授が自分でピロリ菌を飲むことで胃炎を起こして、関連性を証明した話は有名です。
ですので経口的に感染してしまうので、以前は不衛生な環境から多くの方が感染していましたが、現在は衛生面が整備されたため、ほとんどの方が未感染と以前とは逆転しています。
日常生活での水平感染を懸念される方がいますが、一般的にはそういった心配はあまりないそうなので、自分が感染しているからといって家族にうつすとか過度な心配はしなくても大丈夫です。
・ピロリ菌の検査について
健診でよく指摘され、これにかかわるものは、バリウムでの異常かピロリ抗体陽性だと思います。
いずれも直接胃を見るわけではなく、間接的にピロリ感染の可能性を判定しているものと考えてよいと思います。
直接胃を見ているわけではないので、まだ可能性の段階と考えてください。
特に注意なのはピロリ抗体です。
これは当院の記事でも記載していますが、偽陽性が比較的よく見られる検査になります。
偽陽性とは、実際はピロリに感染していないのに、陽性に血液検査で出てしまうということです。
つまり、これらの検査で引っかかる=ピロリ感染ではないため、この段階での除菌治療は基本的には適応になりません。
ピロリ菌に感染しているかどうかは胃カメラをすることではっきりと分かります。
・ピロリ菌の有無の胃カメラの所見
ピロリ菌感染の胃
全体的に発赤していて、粘膜が萎縮して白く剥げており(萎縮性胃炎)、ひだも消失
ピロリ菌未感染の胃
発赤もなく、光沢があって炎症のない状態
上の内視鏡画像のように感染しているかどうかは内視鏡の専門医であれば見たらわかります。
感染している方はピロリ菌により胃に炎症を起こし、発赤し、粘液も付着し、炎症の結果粘膜が剥げて白っぽくなり、萎縮性胃炎という所見を呈します。
未感染の場合は、萎縮がなくひだもしっかりと残っており、なんとなく感染している胃に比べて光沢があり、きれいなのが分かると思います。
この内視鏡所見をもって、最終的に感染の有無を判定し、感染している方はピロリ菌の除菌治療を行います。
・検査方法・除菌判定について
①鏡検法
ピロリ菌の検査方法についてですが、僕としてはとにかく患者様に負担を強いたくないという気持ちがあるため、胃カメラで感染を疑った際は鏡検法を行っています。
具体的には胃の組織を採取して、顕微鏡でピロリ菌の有無を確認してもらうことです、これであれば検査後に血液検査をしたり、時間や苦痛を必要とせず最も効率的と考えています。
②尿素呼気試験
ピロリ菌感染の判定にも除菌判定にも抜群によい検査方法です。
当院にもこちらの検査機は導入されており、当日30分ほどで結果出るため、その日のうちに結果をお伝えすることができます。
主に除菌後の除菌判定にはこちらを用いるため、改めて内視鏡検査をしたりする必要は全くありません。
・除菌した後は?
除菌したらもう胃がんにかからないと誤解されている方がおられますが、除菌後胃がんというのは学会でもよくテーマに上がる領域で、ピロリ菌の除菌後も胃がんは発生します。
未感染の方は胃がんにかかることはほとんどないですが、除菌後は少しリスクは下がるといわれていますが、未感染の人と比べて今までの炎症の蓄積で、胃がんが圧倒的に発生しやすくなっています。
ですので、除菌したからもう大丈夫と安心せずに、毎年胃カメラの検査を受けることが重要になります。
当院は完全に眠った状態の検査、胃カメラと大腸カメラの同日検査を行っていますため、1年ごと1日だけ予定を開けていただき、みなさまの胃がん・大腸がん早期発見に貢献できたらと思っています。
↓当院の内視鏡について
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