苦しくない内視鏡検査について
当院は新宿区で鎮静剤を用いて眠ったままの苦しくない無痛の内視鏡検査を徹底しています。
今回は内視鏡検査がそもそも苦しい理由(当たり前ですが・・・)と当院でのその対策をご説明させていただきます。
まず大前提として、内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)は苦しくないわけがないです。
年に1度くらい頑張ってとか、僕は我慢できるとか、そういったことではありません。
全ての人が平等に何の抵抗もなく気楽に受けられる状況を作らないと定期的な検査ができず、胃がんや大腸がんの死者数を減らすのも夢のまた夢です。
今回は内視鏡が苦しい理由と、それに対する具体的な対策、最も有効な鎮静剤の使い方について記載します。
胃カメラが苦しい理由
胃カメラはとにかく苦しいです。大腸カメラはある程度、個人差がありますけど、胃カメラは基本的に少なからず苦しくきつい検査です。
全員まんべんなく苦しいのが胃カメラで、個人差はあるけど痛いときは特段痛いのが大腸カメラというイメージです。
胃カメラを始めた当初お互いに同級生とやりあったのが懐かしいです。
僕は幽体離脱のようにつらいと意識を飛ばせるので我慢はできるのですが、練習で20分起きたままで胃カメラをされたのはなかなか大変だったように思います。
胃カメラが苦しい理由、やりたくない要因 (個人の感想と患者さんの訴えです)
①嘔吐反射がある
異物がのどに入るのを防ぐ生体反応であり、まさにそのあたりをカメラが通るのでもろに刺激され誘発されます。
②検査中空気でおなかが張る
空気を入れて胃や腸を広げるので、おなかが張って気持ち悪いです。検査中にガスがたまりすぎるとげっぷがでます。
どうにもならないのに、げっぷを我慢してと検査中怒られることもあります(泣)
③内視鏡が前後するときが痛い、つらい
のどの麻酔をしていますが、たたでさえ異物が入っていてつらいのに、それが動くのはなお一層つらいです。
④事前の準備の泡をとる液体がまずい、咽頭麻酔(のどの麻酔)のスプレーをされると気持ち悪い・パニックになる
胃カメラの前に泡をとるために消泡剤を飲まされることが多いです。これがまたまずいこと。
のどの麻酔は苦手な方が多いです、のどの感覚がなくなることでパニックになってそれだけで検査中止になるようなケースもあるそうです。
またアレルギーがある方もいてそういったケースでは使えません。
大腸カメラが苦しい理由
①曲がり角で伸ばされるときに痛い、とにかく痛い
これにつきます、大腸は固定されていなく、可動性があるため、腸を伸ばして奥に進めることがありますが、その際が痛いです。
痛みも腸の癒着や憩室によって腸が固くなってたり、屈曲が強くて伸ばす度合いが強い場合は痛みが強くなることが多いです。
一方で腸がまっすぐで入れやすく、何もしなくても伸ばさずに挿入できるような人は全く痛くないことが多いです。
表現としては女性の場合、お産よりしんどかったと表現されることもあるそうです。
②おしりを入れるときに痛い(痔が原因で)
肛門部に痔を持っている方が多いため、切れ痔などを繰り返されている方はおしりに入るときに痛いです。
人によっては入っているときの感覚が嫌すぎて、挿入の痛みではなくこちらの違和感に耐えられないとおっしゃる方もいます。
③検査中におなかがはる
空気で膨らませながら検査をするのでお腹が張って苦しいです、ガスを出してといわれますが、腸を動かしづらくする薬を使っているし、恥ずかしいのでガス出してといわれてもうまく出せたものではありません。
④検査のための準備がつらい
下剤は色々種類がありますが、共通しておいしくない、2L程度も飲まなければいけない、これが何よりもきついとおっしゃる方もいます。
前日に腸を動かすための下剤を服用するケースもあり、これが相性が悪く二度とやりたくないという言葉も聞きます。
具体的な対策方法
胃カメラの対策方法
①嘔吐反射がある
反射を最小限にするために例えば細いカメラを使って物理的に刺激を誘発する箇所に当たりづらくしたり、なるべく優しい操作をする。かつての指導医の言葉を借りるならまさに胃に気づかれないようにカメラを挿入する。
当院は胃カメラの際は鎮静時でも基本的には細径内視鏡を用いており、患者様の苦痛を可能な限り少なくしています。
②空気でおなかが張る
③内視鏡が前後するときが痛い、つらい
こちらの2つの要素は内視鏡医の技術力でカバーするところです。
とにかく、雑な操作、無駄な操作をしないことです。また空気も入れっぱなしにせず、検査中に適度に吸引して回収しながらぱんぱんに胃が張り過ぎないようにきをつけます。これらはある程度経験を積んだ内視鏡医であれば克服していることが多いとは思います。
④事前の準備の泡をとる液体(消泡剤)がまずい、咽頭麻酔(のどの麻酔)のスプレーをされると気持ち悪い・パニックになる
極論を言うとどちらもしなかったら克服できます。
当院では実はどちらも基本的に行っていません。
大丈夫なの?っと思われるかもしれませんがそこはうまく対応しています。
・消泡剤の省略
こちらのデメリットは、これを省略することで胃に泡が残っていることですが、近年はピロリ未感染や除菌後の方が大半であるため、実はそんなに胃の中が泡や粘液でよごれていません。検査時に消泡剤を混ぜた水で洗うことで簡単にきれいにすることが出来るため、検査前の服用を省略しており、特に問題なく検査が可能です。
・咽頭麻酔の省略
当院は基本的に鎮静剤の使用を推奨しており、その場合は咽頭麻酔は省略可能です。
咽頭麻酔に苦い思い出のある方もお気軽にご相談ください。
鎮静剤を使われないケースでは咽頭麻酔は行っています。
大腸カメラの対策方法
①曲がり角で伸ばされるときに痛い、とにかく痛い
②おしりを入れるときに痛い(痔が原因で)
なるべく伸ばさないような挿入法をしたり細いカメラを使ったりする。僕の場合は患者さんのおなかを押して曲がり角をカメラに近づけて手前を伸ばさず挿入する手法で対策しています。
また、当院は大腸カメラで極細径内視鏡を導入しており、痛みを最小限にしています、このカメラにより挿入不可の症例はほとんどないと考えています。またこれであればおしりの違和感も太いものと比べて明らかに軽減されます。
③検査中におなかがはる
空気で検査をするとガスがたまり、非常にお腹が張りますため、多くの施設ですぐに吸収される二酸化炭素を空気の代わりに用いて検査を行っています。当院も二酸化炭素を使った検査が可能であるため、空気によるおなかの張りを起こすことは基本的にありませんので安心してください。
④検査のための準備がつらい
こちらも当院はなるべく抵抗がないようにしています。
当院ではサルプレップという下剤を導入しており、こちらは500mlのペットボトルを1本飲むだけで、後はお水を1L程度飲むだけで済みます。
こちらの薬のいいところは、量が少なくて済むことと、2時間程度と非常に早く整うことが多いことです。
これだけ早いことから即日検査や午前中の検査が問題なく可能になっています。
味はどうしてもおいしいとは言い切れませんが、量が少ないので、なんとか飲んでいただきたく思っている次第です。
鎮静剤の使い方について
上記の方法を用いれば、胃カメラや大腸カメラの苦しさを軽減することが出来はします。
しかし、決して無痛ではないですし、我慢はできるようになるくらいで、苦しいものは苦しいし、できれば受けたくありません。
そこで重要なのは鎮静剤の使い方なのですが、これに関してどんなものなの?大丈夫なのと思われるでしょう。
これに関して内視鏡診療における鎮静に関するガイドライン(2020年9月発行)というものがあり、オンラインでも無料で見ることが出来ます。
【鎮静を行うか否かの判断は,患者側の期待度,費用対効果,施設の状況など様々な要素に影響されるため,一概に結論付けられるものではない。医療者側は,内視鏡前に鎮静の有用性と偶発症について十分に説明し,医療安全を考慮したうえで鎮静使用の有無について患者に選択する機会を与え,その意思決定を尊重することが望ましい。】とあり、【経口的内視鏡の受容性や満足度を改善し,検査・治療成績向上に寄与する、エビデンスレベルA(強い根拠に基づく)】となっています。
つまり鎮静剤は、選択する機会を与えるべきであり、胃カメラに関しては特に満足度改善につながるのはよーくわかっていますよということです。
鎮静剤に関しては呼吸抑制・血圧の低下が主な危険性となります。このため、鎮静剤は勧めなかったり、非常に浅い鎮静でされることもありますが、使う以上は患者さんの期待にそうものでなければなりません。
そのために患者さんの全身状態や基礎疾患などから危険性もお伝えしてしっかり検査中モニタリングをしながら、満足度が高まるような検査を行いましょうとガイドラインに記載されています。
当院は検査中はモニターを導入しており、内視鏡経験の豊富なスタッフを採用しており、緊急時に備えて酸素投与・バックバルブマスク、AED等完備しています。また鎮静剤もガイドラインに記載されているように種類がありますが、2種類採用しており、それらを使い分け豊富な使用経験からしっかり眠ることが出来かつ安全な検査を心掛けています。
また何よりも大事なのは患者様の満足度であり、患者さんにもう終わったのといった僕と同じ経験をしていただけるような鎮静を心掛けます。
安全性に配慮し、年齢・疾患に応じて基本の開始量・種類は決めていますが、意識状態をみて、検査前に徐々に薬を追加していき、必ず眠ったのを確認してから検査を始めさせていただきます。検査中も覚醒したら適宜お薬を追加させていただきます。検査中にたたき起こすなど、患者様の睡眠を妨げるような行為は断じて行わないようスタッフ教育もさせていただいています。
こういった配慮を徹底して、鎮静剤を積極的に用いることで、完全に眠ったままの苦しくない無痛の内視鏡検査を実践したいと考えています。
まとめ
以上が苦しくない内視鏡検査についてになります。
まとめますと内視鏡の技術・細径内視鏡や二酸化炭素という設備・適切な鎮静剤の使用という3つを全力でということになります。
技術・設備ももちろんですが、鎮静剤を満足いくように使うというのも一つの内視鏡のプロたる診療だと思っています。
かつての師の言葉でどんなプロにも鎮静剤は勝るという言葉があります。ものすごい内視鏡がうまい先生がこれをいうから非常に説得力があり、鮮明に今でも覚えています。
新宿区で鎮静剤を用いて眠ったままの苦しくない無痛の内視鏡検査を受けたい際は是非当院にご相談ください。
↓当院の内視鏡について
https://www.rin-cli.jp/endoscopy/
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