下痢とは
下痢は、腸の運動が亢進し、便が通常よりも水分を含んだ状態で急速に排出される状態を指します。通常の便と比べて軟らかく、水っぽい性状を示します。下痢は主に消化器系の問題や感染症によって引き起こされることが多く、病原体や毒素による腸の炎症や刺激が原因となります。下痢は他の症状とともに現れることがあり、腹痛、腹部の不快感、嘔吐、発熱などが見られることもあります。水分や電解質の喪失が起こるため、十分な水分補給が必要です。下痢が長期間続く場合や重篤な症状がある場合は、医師の診断と指示に従って適切な治療を受ける必要があります。
下痢を軽く考えず、違和感があれば当院までご相談ください。
数日下痢(水様便)が続いている場合に考えられる病気は?
下痢が2〜3日治らないという際は、次のような原因が考えられます。
これらは、薬物療法、処方薬の見直し、安静によって、割とすぐに治る可能性があります。
感染性胃腸炎 | 感染性胃腸炎では、病原体による腸の炎症が下痢を引き起こします。ウイルスや細菌が腸内で増殖し、腸の正常な機能を乱すことで水分吸収が妨げられ、下痢が起こります。 |
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暴飲暴食・食あたり | 暴飲暴食や食あたりによる下痢は、多量の食事や汚染された食品が消化不良や食中毒を引き起こし、腸の過剰な動きが下痢を引き起こすことが原因です。 |
薬剤 | 薬剤には、腸の動きを刺激したり、腸内のバランスを妨げる副作用があるものがあり、下痢の症状を引き起こすことがあります。また、アレルギー反応も下痢を引き起こす原因となります。 |
1ヶ月以上下痢が続いている場合に考えられる病気は?
下痢が1ヶ月以上治らないという際は、次のような原因が考えられます。
原因疾患の治療が必要となり、大腸疾患の場合は大腸カメラ検査で見つけることが可能です。
過敏性腸症候群 | 過敏性腸症候群は、腸の運動が過剰に活発になり、食物や水分が腸を通過する速度が速くなることで、腸内の水分が不十分に吸収され、下痢が生じます。 |
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炎症性腸疾患 (潰瘍性大腸炎・クローン病) |
炎症性腸疾患では、腸壁の慢性的な炎症が腸内の正常な機能を妨げ、水分吸収や粘膜の保護が乱れます。その結果、腸内の水分が増えて腸内容物が過剰になり、下痢の症状が現れます。また、炎症による腸壁の損傷や潰瘍も下痢を引き起こす要因となります。 |
大腸がん | 大腸がんでは、腫瘍が大腸内部の通過時間を短くし、腸内の水分吸収が妨げられることで下痢の症状が出ることがあります。また、腫瘍が大腸の内腔を狭めることで便の通過が困難になり、便が腸内に滞留して下痢を引き起こすこともあります。 |
大腸以外の病気(慢性膵炎など) | 慢性膵炎などの膵臓疾患では、消化酵素の分泌が低下し、脂肪や炭水化物の消化・吸収が十分に行われないため、腸内の水分バランスが崩れ下痢の症状が出ることがあります。 |
下痢が続く場合には大腸内視鏡検査をお勧めします
「体質やストレスの問題」「排便できているから問題ない」と考えがちで、下痢の症状があってもなかなか病院を受診しない方も少なくありません。
しかし、これまでご説明したように、下痢は様々な原因疾患によって引き起こされます。便秘や下痢、血便などの便通異常は、身体に何らかの異常が起こっているサインです。ですから、早めに大腸内視鏡検査を受けることが重要です。この検査により、大腸の状態や疾患の有無を確認できます。異常が見つかれば、適切な治療を開始することができます。
また、便潜血検査の結果が陰性でも、大腸がんなどの疾患を完全に除外することはできません。したがって、大腸内視鏡検査を受けることをお勧めいたします。
当院は鎮静剤を用いた完全に眠れる無痛の大腸内視鏡検査、オンライン診療での下剤郵送、午前来院で即日検査可能な体制を整えていますためお気軽にご相談ください。
便秘とは
便秘とは、排便が困難で頻度が低い状態を指します。一般的には、3日以上の連続した排便の遅延や、排便時に苦痛や不快感を伴う状態です。
便秘の主な症状には、排便困難感、排便の頻度減少、便の硬化などがあります。
便秘は様々な要因によって引き起こされます。具体的には、生活習慣の乱れ、食事の欠乏、運動不足、水分摂取の不足、ストレス、薬剤の副作用などが一般的な原因です。長期間に渡り便秘の状態が続くと身体にさまざまな影響を及ぼし、不快感や体調不良を引き起こすことがあります。適切な食生活、十分な水分摂取、適度な運動、ストレス管理などの対策を取ることが便秘の予防や改善に役立ちます。
一方で、大腸がんによる通過障害や虚血性腸炎などが便秘の一因になることがあります。今まで便通が良かったのに突然便の出が悪くなった際は大腸内視鏡検査をご検討ください。
当院は鎮静剤を用いた完全に眠れる無痛の大腸内視鏡検査を徹底していますためお気軽にご相談ください。
便秘の原因
機能性便秘
機能性便秘は、身体の構造的な問題ではなく、腸の機能や運動の異常によって引き起こされる便秘の状態です。特に大腸や腸に異常はないため、検査などでは何も異常が見つからないことがあります。機能性便秘の主な特徴は、排便の困難感や頻度の低下、便の硬化です。この状態は長期間続くことがあり、日常生活に不快感や影響を及ぼすことがあります。
機能性便秘の原因は、生活習慣の乱れ、食物繊維不足、運動不足、ストレスなどが関与しています。適切な食事や水分摂取、適度な運動、ストレス管理、排便習慣の確立が改善に役立ちます。
弛緩性便秘
弛緩性便秘は、腸の筋肉の動きが鈍くなり、便がうまく排出されない状態です。腸の運動が弱まることで、便の通り道が詰まってしまい、排便が困難になります。
弛緩性便秘の原因には、腸の神経や筋肉の異常、神経系の障害、薬の副作用などがあります。治療では、腸の運動を促進する薬や食事療法、適度な運動などが行われます。また、原因によっては基礎疾患の治療も必要です。
痙攣性便秘
痙攣性便秘は、腸の筋肉が異常な収縮を起こすことで排便が困難になる状態です。通常、腸は適度な収縮と弛緩を繰り返しながら便を蠕動させて排出しますが、痙攣性便秘では筋肉が異常な収縮を繰り返すため、便がうまく通らずに便秘が起こります。
原因としては、腸の神経や筋肉の異常、神経系の障害、ストレスなどが関与しています。治療では、腸の収縮を調整する薬やリラクゼーション法、ストレス管理などが行われます。
直腸性便秘
直腸性便秘は、直腸や肛門の機能の低下により、排便がスムーズに行えなくなる状態です。直腸は便を貯めてから排出する役割を持っていますが、直腸性便秘ではその働きが弱まります。結果として、排便頻度が減少し、便が硬くなる傾向があります。
直腸性便秘は、便意を我慢する習慣やウォシュレットの頻繁な使用が原因となることもあります。便意を我慢すると直腸の運動が抑制され、ウォシュレットの使用によって直腸の感覚が鈍くなります。これらの要因が重なると、排便が困難になります。直腸性便秘は、適切なトイレ習慣や便意を無視せずに排便することで改善できる場合があります。
器質性便秘
器質性便秘は、腸に直接的な障害や病変があることに起因する便秘の状態を指します。例えば、大腸の腫瘍やポリープ、腸の狭窄(狭まり)、腸の癒着などが原因となります。これらの状態が腸の正常な運動や便の通過を妨げるため、便秘が生じます。器質性便秘は、他の症状や体調の変化と共に持続的に続く傾向があります。診断には検査が必要であり、大腸内視鏡検査やX線検査などが行われます。治療は原因に応じて行われ、薬物療法や手術などが適用されることもあります。早期の診断と適切な治療が重要です。
症候性便秘
症候性便秘は、他の疾患や症状によって引き起こされる便秘の状態を指します。
便通に影響を与える要因として、脳卒中、脊髄損傷、パーキンソン病、甲状腺機能低下症、副腎機能低下症などの疾患や甲状腺や副腎などのホルモンの分泌の異常、薬剤の副作用、筋肉の機能障害などが考えられます。また、妊娠や出産、手術後などの身体的な変化やストレスも関与することがあります。症候性便秘の治療は、原因となる疾患や状態の治療に重点が置かれます。
薬剤性便秘
薬剤性便秘とは、薬の使用が原因で便秘が起こる状態です。一部の薬剤は、腸の運動を鈍らせたり水分の吸収を増やしたりすることで便の通過を遅らせ、便秘を引き起こすことがあります。また、薬剤は直接腸の神経を抑制することで排便を妨げる場合もあります。
具体的な薬剤としては、鎮痛剤や抗うつ薬、抗ヒスタミン薬、鉄剤などが挙げられます。これらの薬剤を使用することで、腸の動きが鈍り、便が硬くなります。
薬剤性便秘は、薬の種類や用量によって症状の程度が異なります。薬の使用を中止することが難しい場合は、医師に相談し、適切な薬剤の選択や追加の治療方法を検討する必要があります。
便秘で気をつけたい消化器系の病気
- 過敏性腸症候群
- 潰瘍性大腸炎
- クローン病
- 大腸がん
- 腸管閉塞(イレウス)
S状結腸や下行結腸に生じたがんは、発症初期に便秘の症状が現れることがあります。早期に大腸がんを発見することで、治療の成功率が高まるとされています。便秘が長期間続いている方や急に便秘になった方は、早めに専門医に相談し、最適な治療を受けることが重要です。診断や治療のためには、大腸内視鏡検査やその他の検査が行われる場合があります。適切な治療を受けることで、便秘に関連した病気の治療や予防が可能となります。
便秘の検査
当院では、便秘の検査として、問診を行った後、必要に応じて内視鏡検査(大腸カメラ検査)、腹部エコー検査、血液検査を実施します。大腸カメラ検査では、肛門から内視鏡を挿入し、大腸の内部を詳しく観察します。この検査によって、微細な病変や腫瘍を確認できます。疑わしい病変が見つかった場合は、組織採取を行い、生検検査に送ることで正確な診断を行います。
便秘の治療法
便秘の治療法は、食事改善(食物繊維摂取や水分摂取の改善)、適度な運動、薬物療法 (医師の指導のもとでの使用)、生活習慣の見直しなどがあります。当院ではひとり一人に症状や原因、生活習慣に合わせた治療法をご提案しておりますので、症状にお悩みの方はお気軽にご相談ください。
長引く便秘には早めのご相談を
適切な便秘治療を受けて頂くことで、症状の早期改善を目指します。
便秘の原因が何かしらの疾患である場合も考えられますので、1週間以上排便していない、強くいきんでも排便できないという方は、なるべく早めに当院までご相談ください。